新型コロナウイルス感染症が流行して9ヶ月が過ぎましたが、治療法もないまま収束の兆しも見えません。そんな中みつみでは「感染しない・感染させない・感染を持ち込まない」を合言葉に、スタッフ全員で万全の感染対策に取り組んできました。ご家族の皆様におかれましては入所されているご両親についてご心配のこととお察しいたしますが、ここにみつみの取り組み内容をお伝えして、少しでも安心していただければと存じます。
始めに
みつみの新型コロナウイルス感染対策について記載する前に、これまでの行政の対応について触れておきます。
- これまで少量ではあるが、マスクの配布がありました。しかしながらウイルス感染治療現場で必要なN95マスク、医療用ガウン、フェイスシールドなどいまだに十分購入できず、ホームセンターやアマゾンで一般の雨具などを購入、行政からの支給、斡旋、あるいはどれぐらい必要かなどの調査もありません
- 看護師、介護スタッフ、調理スタッフなどが感染し、スタッフ不足のために介護や食事が提供できなくなった場合の応援や派遣の取り組みもされていません
- 感染した入所者を入院させたくても、受け入れ先の病院が満床の場合、施設で新型コロナウイルスの治療をするようにいわれているが、みつみなどの介護施設には感染症の治療ができる医師、看護師などのスタッフは配置されていませんし、①で説明したように感染症治療のためのガウンなどもなく、また酸素吸入などの治療設備もありません
- 全国の介護施設がこのような状況のため、介護施設でのクラスタ―が多発すると心配されます
- 医療スタッフ、介護スタッフに関してはPCR検査を定期的に行い、クラスター防止に努めるべきをこの9ヶ月間全くの無策で経過
このように行政の協力や援助のない中で、みつみは下記のように独自の新型コロナウイルス感染対策を行い、これまでの9ヶ月間入所者は勿論スタッフにも感染者ゼロを継続しています。これからも新型コロナウイルスから入所者を守るため、スタッフ一同団結して最大限の努力を続けていきます。ご理解ご協力のほどお願い申し上げます。またご意見やお尋ねがあれば遠慮なくお知らせください。
入所者様に関しての対策
- 家族面会禁止(本年2月21日より継続、現在は1階ロビー横の窓ガラス越しの面会実施)
- グループ間の廊下にビニールカーテンの設置
- 1階デイケアの営業を中止し、入所者に感染者が出た場合の隔離居室として使う準備
- 入所者同士で3密にならないように配慮
- 食事は各階3グループに分けて、食事場所をずらしている
- 感染またはその疑いの入所者は個室に移動、隔離
- 居室、食堂廊下など定期的な清掃、消毒(1日数回)換気
- 看取りをしていて危篤状態になった場合のご家族の入室は2名以内(有熱者、高リスク者を除く)として入室の場合ガウン、キャップ、手袋、マスク着用で10分以内としている。
- 入浴は2グループずつ、時間をずらしている
スタッフに関しての対策
日本全体では非常事態宣言は解除されているが、みつみは超高齢で免疫力の低下した入所者の介護を行っているため、新型コロナを持ち込まないように一般人よりも厳密な予防対策を取るため、いまだ非常事態体制を継続しています(本年4月1日より)
- 法事、結婚披露宴、葬式、その他会合、宴会、旅行、外食など禁止。
- 医療機関受診、家庭内感染など感染のリスクが高いと判断される場合は7~14日出勤停止としている
- 入所者に感染者が出た場合の隔離に備え、手洗いは勿論予防ガウン、手袋、マスクなどの着脱方法を全スタッフが熟練するようにトレーニングを続けている。きちんとできないスタッフは感染現場の仕事を外している
- 職場でスタッフ同士がなるべく多くのスタッフと接することがないように、更衣室、通路、休憩スペース、食事テーブルなど細かく区分化している
施設全体の対策
- 外部の業者、搬入など施設内への出入りを最小限にし、どうしても必要な場合、手袋、ガウン、ヘアキャップ、シューズカバーなど着用してもらっている(準備してない場合1セット500円で購入してもらう)
- スタッフの家族に新型コロナが発生した場合家庭内感染を予防するため、職員寮の2室をスタッフの臨時居住場所として確保している(東区御島崎)
- 厨房では、手洗い、マスク、手袋を厳密に行い、食材を素手で扱わないこと、生ものを提供しない、加熱した料理しか出さないなど配慮している
スタッフに感染が発生した場合の対策
これまでの9ヶ月間、一人も感染は発生していませんが
- 10~14日間の出勤禁止、濃厚接触者のPCR検査、感染可能性の高いスタッフも出勤停止、濃厚接触の可能性のある入所者の隔離
- 感染スタッフが複数になった場合、勤務シフトが組めなくなる――勤務内容、介護内容を簡略化する可能性。厨房スタッフが感染した場合、保健所の指導により調理室の使用禁止となる可能性あり、その場合に備えレトルト食品などの準備をしている
入所者が感染した場合の対策
- PCR陽性の場合、基本的に感染症指定医療機関や一般病院に転院の手配をするが、これらの医療機関が満床で入院を待たされる場合、あるいは入院できない場合みつみで治療を行います。
-
みつみでの治療は、
*1階隔離室使用(以前のデイルーム)、酸素ボンベによる酸素吸入(緊急用の持ち運び用のボンベのため連続的に長期的に使うのは困難)、吸引、点滴
*内服処方による治療
*挿管、気管切開、人工呼吸器やECMOはできません
*ご家族の面会は原則できません(感染症指定病院でも同様)
終わりに
新型コロナウイルス感染症は発熱、咳、倦怠感などの症状が出る3日前に感染している確率が高いといわれています。ということは症状のない人との接触でも感染しないという保証はないことになります。また、現在無症状の感染者も多く、感染予防対策を最大限厳密に行っていても、最低限食品などの買い物や通勤などが不可欠で、完全に人と接触しない生活は不可能です。このような状況のなか、感染予防の努力は続けますが、スタッフの中にいつ陽性者が出るか予測がつきません。皆様のご理解をお願いいたします。
令和2年11月1日 新型コロナウイルス感染対策委員会